海外の動向|プログラミング教育

プログラミング教育

海外では、日本より「プログラミング教育」が進んでいる国(手本となる国)がいくつか存在します。

いわゆる、先進国や情報大国という範疇にしぼると、日本はとても遅れていると言わざるを得ず、「プログラミング教育」に関しては、後進国と言っても過言ではありません。

海外では、「プログラミング教育」に適した言葉がなく、代わりに「コンピューティング」などの用語が用いられており、以下では、全部をまとめて「情報教育」と表現することとします。

ここに記載した情報は、一部を除き、ほぼ以下サイトの情報「情報教育指導力向上支援事業(諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究)」を参考にして抽出や整理したものです。 文献調査機関は同サイトの報告書 p.14に記載があります。

 

 

海外各国の導入状況(概要)

ここでは、主に以下の資料から情報を抽出、整理しています。

 

全体

プログラミング教育を普通教科として単独実施している国はなく、情報教育に関わる教科の中で実施されている。

以下では、日本の公教育における就学区分や学校区分で分けましたが、海外各国でこれら区分や名称は異なります。

 

小学校初等教育段階(日本の小学校相当)

日本の小学校相当(初等教育段階)において、科目に「情報教育」を含んでいる国を抽出しました。

  • 必修科目
    • 英国(イングランド)
    • ハンガリー
    • ロシア

中学校

日本の中学校相当(前期中等教育段階)において、科目に「情報教育」を含んでいる国を抽出しました。

  • 必修科目
    • 英国(イングランド)
    • ハンガリー
    • ロシア
    • 香港
  • 選択科目
    • 韓国
    • シンガポール

高等学校

日本の高等学校相当(後期中等教育段階)において、科目に「情報教育」を含んでいる国を抽出しました。

  • 必修科目
    • ロシア
    • 上海
    • イスラエル
  • 選択科目
    • 英国(イングランド)
    • フランス
    • イタリア
    • スウェーデン
    • ハンガリー
    • カナダ(オンタリオ州)
    • アルゼンチン
    • 韓国
    • シンガポール
    • 香港
    • 台湾
    • インド
    • 南アフリカ

その他

必修科目、選択科目いずれでもないが、「情報教育」を実施している国などを抽出しました。

  • 小中高で学校裁量にて実施
    • エストニア

 

海外各国の導入状況(詳細)

筆者が注目した国の導入状況の詳細を紹介します。

ここでは、以下の参考文献をもとに情報を抽出しました。
以下文章中の「報告書」はこの参考文献を示しています。

 

英国(イングランド)

全体像

イングランドでは、2013 年のナショナルカリキュラムにおいて、従来の教科「ICT」に代わって教科「Computing」が新設され、2014年9月より実施されている。 (報告書 p.20)

「ナショナルカリキュラム」は、英国が定めたカリキュラムのこと。 「グローバル化時代の国際教育のあり方国際比較調査」第一分冊 第3章 p.3-2にも記載あり。
  • プライマリースクール(小学生相当)では、教科「Computing」では専任教員はおらず学級担任が指導。
  • セカンダリースクール(中学生相当)では、教科「Computing」では専任教員が指導。
  • 「Computing」教員が不足している。

(報告書 p.21)

歴史

  • 1990
    • ITは教科Design and Technologyに内包
  • 1995
    • ITを独立教科として設置
  • 1999
    • IT→ICT
      • コンピュータの操作スキルやアプリケーションの使い方に重き
      • ICTリテラシーや情報活用能力の習得を中心
  • 2013
    • ICT→Computing
      • コンピュータサイエンスの内容をより充実
        • アルゴリズムの理解やプログラミング言語の学習を取り入れ

(報告書 p.26)

 

学習ツール

  • 国が定めるプログラミング学習のためのツールやキットはない。
    • 学校や指導者の判断で導入。
  • 教育現場ではBee-Botなどが使われているもよう。
    • 筆者のイングランド在住の友人に尋ねたところ、「子供がEarly Years Foundation StageやInfant Schoolのとき(4~6歳)(2013~2015年)に、学校でよくやってて、大好きだったみたい」とのことでした。
  • セカンダリースクールのCompute-ITではScratchの例あり。

(報告書 p.28)

micro:bitのサイトには、year7(11、12歳)の児童全員にmicro:bit配布とあるが、実際のところは未確認。

 

その他

  • 大学進学適正試験にもComputer Science/Computingが含まれる。

(報告書 p.28)

米国(カリフォルニア州)

『プログラミング教育は、カリフォルニア州教育局(California Department of Education)が定めるカリキュラムに科目として規定されていない。』 (報告書 p.110より引用)

 

シンガポール

『プログラミング教育は、調査時点では、初等教育のカリキュラムには含まれていない。』 (報告書 p.150より引用)

 

中国(上海)

『上海市教育委員会の「上海市小中学校情報科学技術カリキュラム標準」では、義務教育期間である小・中学校におけるプログラミング教育に関する内容は確認できなかった。』 (報告書 p.158より引用)

 

結論

結論としては、英国(イングランド)の情報が多い&参考にしやすく、また、米国や中国などのように、「科目として導入してそう」と思った国でも意外と導入されていない国が多いと感じました。

ただし、学校裁量で導入している国は多いようで、これが日本と同等レベルの導入度合いなのか、カリキュラムになくても自前で当たり前のようにみんなやってるのか、などまではわかりませんでした。

世の中から入ってくる情報から察すると、「海外では、正式なカリキュラムに組み込まれているか否かにかかわらず、日本に比べ、早くから情報教育に関して必要性を認識して、国も企業もそこに注力する風土や姿勢がある」と感じています。

 

各種情報/参考資料

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