Google reCAPTCHAを利用しているユーザ宛に「移行してください」旨の案内メールが順次届いているかと思います。
本記事では、これに伴った「reCAPTCHAをGoogle Cloud版への移行手順」を紹介します。
また、reCAPTCHAに関連する「Contact Form 7プラグインの対応に関する情報」も合わせて紹介しています。
目次 [表示]
ことのはじまり
背景(reCAPTCHA移行してねメールが来た)
当サイトではreCAPTCHAを利用しています。
このreCAPTCHAに関し、2025/2/6にGoogle Cloudから
「[推奨処理] 2025 年末までに reCAPTCHA キーを Google Cloud プロジェクトに移行してください」
という件名のメール(以降、「移行してねメール」と表記)が届きました。
本メールには「手動移行がおすすめ」的なことが書かれています(詳細は以下の抜粋)。
さて、どうしたもんか。
なお、ネットで公式アナウンスのようなものを探してみましたが自分は見つけられませんでした。
「移行してねメール」抜粋
Google Cloudから届いたメール(前述した「移行してねメール」)の件名と本文の抜粋を紹介しておきます。
- 件名
[推奨処理] 2025 年末までに reCAPTCHA キーを Google Cloud プロジェクトに移行してください
- 本文(引用&抜粋)
(略)
2025 年末までにすべての Google reCAPTCHA キーを Google Cloud プロジェクトに移行する必要がございますことをお知らせいたします。
(略)
変更の適用は、今年一年を通して段階的に進められます。
お客様のキーが対象になった時点で改めてメールでご連絡いたします。その際には、Google Cloud プロジェクトが自動的に作成され、それにお客様のキーが関連付けられます。
ただし、このプロセスより前にこちらの手順に沿って、reCAPTCHA Classic から手動で移行することをおすすめします。
(略)
reCAPTCHAについてのおさらいと整理
まず、reCAPTCHAについておさらいと整理をしてみます。
「reCAPTCHA」はGoogleが提供しているCaptchaサービスです。現存するreCAPTCHAのサービスは以下の通りです。
- reCAPTCHA Classic(旧体系)
- Google Cloud版reCAPTCHA(新体系)
これらそれぞれについて以下にて解説します。
reCAPTCHA Classic(旧体系)
「reCAPTCHA Classic」は「旧体系のreCAPTCHA」で、「Google reCAPTCHA管理画面」(GoogleのWebサイト)で管理します。
「reCAPTCHA Classic」のタイプには「v2」「v3」があります(詳細は以下公ページ参照)。この「タイプ」は「仕組みやUIの種類」を表わす区分であり、後述する新体系の区分(ティア)とは概念が異なります。
なお、過去には「v1」もありましたが現在は廃止されています(以下公式ページの下のほうに記載あり)。
Google Cloud版reCAPTCHA(新体系)
「Google Cloud版reCAPTCHA」は「Google Cloudプロジェクトベースの新体系のreCAPTCHA」で、「Google Cloud Console」(Google CloudのWebサイト)で管理します。
2024年に新体系のreCAPTCHAが提供開始されたみたいで、旧体系からはシステムや料金体系が変わったもようです。
「Google Cloud版reCAPTCHA」のティア(日本語でいう料金プラン)には「Essentials」「Standard」「Enterprise」があります(詳細は以下「機能の比較」に関する公式ページ参照)。この「ティア」は「料金体系の階層」を表わす区分であり、旧体系の「タイプ」とは概念が異なります。
以降では、新体系について説明するときに「ティア」と「プラン」の表記が混在するかもしれませんが同じ意味と捉えてください。
機能の比較
新体系に関する「機能の比較」は以下公式ページをご参照ください。
料金および請求の仕組み
新体系に関する「料金」体系(プラン)は以下公式ページをご参照ください。
新体系に関する「請求の仕組み」は以下公式ページをご参照ください。
新体系に関する「料金」と「請求の仕組み」を整理&まとめると次のような感じになります(上記の各公式ページより抜粋&読解)。
なお、「課金システムを有効にする方法」については上述の公式サイト内からリンクが張られています。
- 全体
- プロジェクトで課金システムを有効にするとStandardに自動移行
- Essentials(常に「課金システム無効」状態)
- 10,000件の評価が無料
- 10,000件の評価を超過すると「その月は利用不可」
- Standard(常に「課金システム有効」状態)
- 10,000件の評価が無料
- 10,000件の評価を超過するとその月は「月額$8」
- 100,000件の評価を超過するとEnterpriseに自動移行
- Enterprise(常に「課金システム有効」状態)
- 10,000件の評価が無料
- 10,000件の評価を超過するとその月は「月額$8」
- 100,000件の評価を超過するとその月は「月額$8」+「$1/1000件の従量制課金」
移行をどうすべきか考えてみた
「推奨処理とあるけど結局移行はどうしたらええんねん」ということで、どうすべきか考えて整理してみました。
移行は必須?
理由はは以下の通りです。
- 2025年末までにreCAPTCHAをGoogleCloudに移行が必須(しないと使えなくなるっぽい)。
⇒ ソース:「移行してねメール」 - 2026年からreCAPTCHAはGoogleCloudプロダクトに完全移行(完全統合)されるのかも(想像)。
⇒ ソース:「移行してねメール」 - reCAPTCHA以外の他のCaptchaサービスに移行するという選択肢もあり。
移行時期はいつがよい?
ただし、『2025年末までには必須』『関連するWordPressプラグインを使っている人は要注意』。
理由は以下の通りです。
- 「順次手動で移行するのが望ましい」と読み取れる。
⇒ ソース:「移行してねメール」- 放っておいても段階的に自動で関連付けられるので多くの人にとっては突然使えなくなることはなさそう。
- しかし、「プロジェクトIDの命名とかが勝手に決められたりするかもしれない」などの若干のデメリットがあるかも。
- WordPressの「Contact Form 7」(以降では「CF7」と表記)プラグインを利用している場合は、「reCAPTCHAをGoogle Cloud版に移行」→「CF7を6.1にアップデート」の順序で処理する必要がある。
⇒ ソース:CF7の公式ページ「今後のCAPTCHAのサポートについて」- 以下に「reCAPTCHA移行」と「CF7アップデート」の順序関係を図示してあります。
- 本件の考察過程についてはこちらを参考にしてください。
- reCAPTCHAに関係するCF7以外のWordPressプラグインを利用している場合は、プラグインごとの状況確認が必要。
⇒ ソース:なし(自身の推論)
-
STEP1reCAPTCHAをGoogle Cloud版に移行
-
STEP2CF7を6.1にアップデート6.1リリース後であることが必須条件。
-
STEP32025年末2025/12/31が「STEP1」と「STEP2」のデッドライン。
どのプランに移行すべき?
月の評価数が10,000件を超えるなら『「Standard」または「Enterprise」(ともに有料)への移行』または『他のCaptchaサービスへの移行』を検討すべき。
理由はは以下の通りです。
- 基本的にはreCAPTCHA評価数に応じてどのプランに移行するか(または、他のサービスに移行するか)を決定することになる。
⇒ ソース:Google Cloud公式ページ「請求先情報」 - 無料が必須なら「Essentials」しか選択肢はない。
⇒ ソース:Google Cloud公式ページ「請求先情報」- ただし「Essentials(=課金システム無効)は無料分超過するとその月はサービスが使えなくなる」ことに注意が必要。
なお、自身の想像レベルですが、移行先の決定には以下のような例があると思いましたので記載しておきます。ご参考まで。
- 小規模サイト&無料利用を継続したい
→「Essentials」 - 後でよく考えたいので取り急ぎ移行だけしときたい
→「Essentials」 - 後でよく考えたいので移行だけしときたい&評価数上限超えて利用停止は困る
→「Standard」 - reCAPTCHAを継続して使いたい&この機会にちゃんと考えて決める
→「Essentials」「Standard」「Enterprise」 - 自身サイトの運営方針に新体系のreCAPTCHAの料金体系がそぐわない
→「他のCaptchaサービス」
移行手順(Classic→Google Cloud版reCAPTCHA)
「移行してねメール」内のリンクからジャンプできる『Google Cloudのガイドの「reCAPTCHA Classic から移行する」ページ↓』に移行手順が記載されています。
このガイドに記載の移行手順は以下の3つのステップで構成されており、本記事でこれから紹介する移行手順の各処理はこれらのそれぞれのステップに対応しています。
- 始める前に
- 本記事の「【処理1】GoogleCloudプロジェクトの作成」に相当
- reCAPTCHA Enterprise APIの有効化
- 本記事の「【処理2】reCAPTCHA Enterprise APIの有効化」に相当
- reCAPTCHA に移行する
- 本記事の「【処理3】reCAPTCHAキーのアップグレード」に相当
- ただし、【処理3】の処理内容は公式ガイドの「Google Cloud コンソール」タブの内容に沿っているのでご注意ください。
- 本記事の「【処理3】reCAPTCHAキーのアップグレード」に相当
前提条件
以降では以下を前提としています。
- Googleアカウントを持っている。
- Google Cloudを使うのは今回はじめて。
- 作成済みのGoogle Cloudプロジェクトはない。
- 以下処理のブラウズ操作において、すでにGoogleアカウントにログインしている状態とする。
この前提と異なる環境下でも処理が本質的に異なることはないと思いますが、画面や細かい処理などが違ってくると推測されます。
【処理1】GoogleCloudプロジェクトの作成
最初に、reCAPTCHAを使うためのGoogle Cloudプロジェクトを新規作成します。
- Google Cloud Console(https://console.cloud.google.com/)をブラウズ。
- 内容に同意できたら「利用規約」のチェックボックスをクリックし、「同意して続行」クリック。
- 「プロジェクトの選択」クリック。
- 「新しいプロジェクト」クリック。
- 公式ページ「reCAPTCHA Classic から移行する」の「始める前に」(STEP1)の「1.」に配置されている「Go to project selector」ボタンをクリックするのはこの処理に相当します。
- 「プロジェクト名」にreCAPTCHA用のプロジェクト名を入力。
- 「プロジェクト名」はお好みの文字列でよいです。
- 今回は「reCAPTCHA」としています(他の用途にもこのプロジェクトを使っていくならこの命名はいまいちだと思います)。
- このフォーム直下に、自動割り当てされた「プロジェクトID」が表示されています。
- 「プロジェクト名」はお好みの文字列でよいです。
- 【任意】プロジェクトIDを指定したければ「編集」クリックし、「プロジェクトID」を入力。
- 「プロジェクトID」はお好みの文字列でよいです。
- 「作成」クリック。
- これで【処理1】は完了。
- こんな画面になっていると思います。
- 「プロジェクトの選択」だったところが作成したプロジェクト名「reCAPTCHA」になっています。
- こんな画面になっていると思います。
【処理2】reCAPTCHA Enterprise APIの有効化
次に、作成したプロジェクトでreCAPTCHAを使うためにreCAPTCHA用APIを有効化します。
- 【処理1】の最後の画面から始めます。
- 画面を閉じてしまった場合は「Google Cloud Consoleをブラウズ」でもよいです。
- 「ハンバーガーボタン」クリックでメニューを開く。
- 「APIとサービス」上にマウスカーソルを移動し、「有効なAPIとサービス」クリック。
- 「+APIとサービスを有効にする」クリック。
- 「APIとサービスを検索」と書いてある検索窓に「recaptcha」を入力。
- 自動的に候補のリストが表示されます。
- 候補のリストで「recaptcha enterprise api」クリック。
- 「reCAPTCHA Enterprise API」クリック。
- 公式ページ「reCAPTCHA Classic から移行する」の「reCAPTCHA Enterprise API の有効化」の「Console」タブ内の「1.」に配置されている「[reCAPTCHA Enterprise API] に移動」ボタンをクリックするのはこの処理に相当します。
- 「有効にする」クリック。
- これで【処理2】は完了。
- こんな画面になっていると思います。
- こんな画面になっていると思います。
【処理3】reCAPTCHAキーのアップグレード
最後に、reCAPTCHA ClassicのキーをGoogle Cloud版に移行(アップグレード)します。
- 【処理2】の最後の画面から始めます。
- 画面を閉じてしまった場合は「Google Cloud Consoleをブラウズ」でもよいです。
- 「ハンバーガーボタン」クリックでメニューを開く。
- 「セキュリティ」上にマウスカーソルを移動し、「reCAPTCHA」クリック。
- 公式ページ「reCAPTCHA Classic から移行する」の「reCAPTCHA に移行する」の「1.」の「Google Cloud コンソール」タブ内の「a.」に配置されている「[reCAPTCHA] に移動」ボタンをクリックするのはこの処理に相当します。
- こんな画面になっているので、右側のフレームを一番下までスクロール。
- なお、ここでは触れませんが、この画面にある「課金を有効にする」などから課金システムを有効にする処理に入れると思います。
- 一番下までスクロールすると「Classicキー」のリストが表示されます。
- 【任意】「Classicキー」のリストに記載されている移行対象のキーが所望のものと合っているか不安な場合は、reCAPTCHA管理画面でキー(サイトキー)を表示してキーが一致することを確認。
- 確認方法は後述のここを参照してください。
- 「キーをアップグレード」クリック。
- 「確認」クリック。
- 「完了」クリック。
- これで【処理3】は完了。移行処理もすべて完了。
- こんな画面になっていると思います。
- 移行されたキーが表示されています。
- なお、移行後はreCAPTCHA管理画面が少し変化します(後述のここ参照)。
- こんな画面になっていると思います。
【補足】reCAPTCHA管理画面に関する補足
reCAPTCHA管理画面でキーを確認する方法
reCAPTCHA管理画面でキー(サイトキー)を確認する手順は以下の通りです。
- reCAPTCHA管理画面(https://www.google.com/recaptcha/admin/)をブラウズ。
- こんな画面になります。
- こんな画面になります。
- 「歯車アイコン」クリック。
- 「設定」画面になります。
- 「設定」画面になります。
- 「reCAPTCHAのキー」クリック。
- こんな画面になります。
- 「サイトキーをコピーする」の横に表示されているのが今回の移行対象のキーです。
- こんな画面になります。
移行前後のreCAPTCHA管理画面の変化
移行後のreCAPTCHA管理画面の変化について紹介します。
移行後、トップ画面上のヘッダーメニューのところに移行前にはなかった「Google Cloudアイコン」が表示されるようになりました。
また、ヘッダーメニュー下に「サイトがreCAPTCHAトークンを検証していないことが検出されました。」の警告が表示されました。

さらに、「設定」を開くと(「歯車アイコン」クリック)、「CLOUDコンソールで表示」ボタンが表示されるようになってました↓。

なお、しばらくしてreCAPTCHA管理画面にアクセスすると警告の表示は消えていました。移行直後だけ検証できていない状態になっていたのでしょうか。

【考察】Contact Form 7(CF7)のreCAPTCHA対応に関する考察
WordPressの「Contact Form 7」(CF7)プラグインのGoogle reCAPTCHA対応についての考察をしてみました。
「CF7」のGoogleCloud版対応に関する情報
CF7の公式ページに「GoogleCloud版reCAPTCHAの対応」についてお知らせが掲載されています(以下の「CF7のreCAPTCHAの対応案内ページ」)。
ざっくりまとめると「次期バージョンでGoogle Cloud版対応入れるのでそれまでに移行しておいてね」ということだと理解しました。
該ページの内容を引用&抜粋しておきます↓。
次のメジャーアップデート (今年の前半に出る予定の Contact Form 7 バージョン 6.1) にて、reCAPTCHA インテグレーションモジュールを Google Cloud 版 reCAPTCHA に対応したものに改訂する予定です。reCAPTCHA の利用を続ける場合は、サイト上の Contact Form 7 を 6.1 にアップグレードするのに先立って reCAPTCHA キーを Google Cloud プロジェクトに移行させる必要があります。
出典:今後の CAPTCHA のサポートについて – Contact Form 7 [日本語]
「reCAPTCHA」と「CF7」の状態の時系列整理
Googleから届いた「移行してねメール」と上述の「CF7のreCAPTCHAの対応案内ページ」の内容をもとに情報を以下のタイムラインにて時系列に整理&まとめてみました。
なお、CF7 6.1は執筆時点(2025/3/7)ではまだリリースされていません。
-
2024年?月reCAPTCHA料金体系変更reCAPTCHAに新たにGoogle Cloudプロジェクトベースのものができて、従来のものはClassicと呼称されるようになり、これらが共存する形で提供されるようになった(のだと思う)。
-
2025/2/6GoogleからreCAPTCHA移行してくださいメール届く(日付は筆者の例)
-
2025/2/18CF7 6.0.4 リリース
CF7 6.0.x ― reCAPTCHA Classic 対応 ― Google Cloud版reCAPTCHA 非対応 ― -
2025年前半
(予定)CF7 6.1 リリースGoogle Cloud版reCAPTCHAに移行してからCF7 6.1にアップデートする必要あり。CF7 6.0.4 CF7 6.1以降 reCAPTCHA Classic 対応 非対応 Google Cloud版reCAPTCHA 非対応 対応 -
2026/1/1
(仮)reCAPTCHAがGoogle Cloud版に完全移行2025年末までにGoogle Cloud版reCAPTCHAに移行&CF7 6.1にアップデートする必要あり。CF7 6.0.x CF7 6.1以降 reCAPTCHA Classic(提供終了) ― ― Google Cloud版reCAPTCHA 非対応 対応
「reCAPTCHA移行」と「CF7アップデート」の順序の正解は?
上述の整理結果より以下のことがわかります(誤認がなければですが)。
- 「reCAPTCHA移行」単独
- 「2025年末」までに「reCAPTCHAをGoogle Cloud版に移行」する必要がある。
- 「2025年末」までなら「reCAPTCHAをGoogle Cloud版に移行」するのはいつでもよい。
- 「CF7アップデート」単独
- 「2025年末」までなら「CF7を6.1にアップデート」するのはいつでもよい。
- 「reCAPTCHA移行」「CF7アップデート」相関
- 「CF7を6.1にアップデート」する前に「reCAPTCHAをGoogle Cloud版に移行」する必要がある。
これより結論として、
「2025年末」までに「reCAPTCHAをGoogle Cloud版に移行」→「CF7を6.1にアップデート」の順序で処理する必要がある
ということがわかります。